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空き家の相続後に売却する方法は?手続きや費用も流れで解説

空き家空き地

竹下  猛

筆者 竹下  猛

不動産キャリア13年

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親から空き家を相続された際、「このまま放置してよいのか」「売却した方がよいのか」と悩まれる方は多いものです。使い道のない空き家は、固定資産税の負担や、ご近所とのトラブルにつながる恐れもあるため、早い段階での対応が求められます。本記事では、相続した空き家を売却する際の基本的な流れや、必要な手続き、費用や税制の優遇措置、そして、後悔しない売却のための注意点まで、分かりやすく解説します。悩みを解消し、納得のいく売却を目指しましょう。

相続した空き家を売却する際の基本的な流れを理解することは、スムーズな手続きを進める上で非常に重要です。以下に、主なステップをご紹介します。

相続した空き家を売却する際の基本的な流れ

相続した空き家を売却する際には、以下の手順を踏むことが一般的です。

1. 相続登記の必要性と手続き方法

相続登記とは、故人名義の不動産を相続人名義に変更する手続きです。2024年4月1日から、相続登記は義務化され、相続発生から3年以内に行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。手続きは法務局で行い、以下の書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(または遺言書)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 登記申請書

これらの書類を揃え、登録免許税などの費用を支払うことで、相続登記が完了します。

2. 売却前の物件調査と必要書類の準備

相続登記が完了したら、次に物件の調査と売却に必要な書類の準備を行います。物件の状態や市場価値を把握するため、不動産会社に査定を依頼することが一般的です。査定方法には、簡易査定と訪問査定があります。簡易査定は物件の基本情報を基に机上で行われ、訪問査定は実際に物件を訪れて詳細に評価します。査定を依頼する際には、以下の書類が必要となることが多いです。

  • 登記事項証明書
  • 登記識別情報または権利証
  • 固定資産税納付書
  • 建物図面や間取り図

これらの書類を準備し、物件の魅力や問題点を明確にすることで、適正な売却価格の設定が可能となります。

3. 不動産会社への相談と媒介契約の締結

物件の査定が完了したら、信頼できる不動産会社を選び、売却活動を依頼します。不動産会社と締結する媒介契約には、以下の3種類があります。

契約種類 特徴 報告義務
専属専任媒介契約 1社のみと契約し、自己発見取引(自分で買主を見つけること)が禁止される。 1週間に1回以上
専任媒介契約 1社のみと契約するが、自己発見取引が可能。 2週間に1回以上
一般媒介契約 複数の不動産会社と契約可能で、自己発見取引も可能。 報告義務なし

各契約にはメリットとデメリットがあるため、自身の状況や希望に合わせて選択することが重要です。契約締結後、不動産会社は広告や内覧対応などの売却活動を開始します。

以上が、相続した空き家を売却する際の基本的な流れです。各ステップを丁寧に進めることで、スムーズな売却が期待できます。

空き家売却時にかかる費用と税金の種類

親から相続した空き家を売却する際には、さまざまな費用や税金が発生します。これらを事前に把握しておくことで、スムーズな売却手続きを進めることができます。以下に、主な費用と税金の種類を詳しく解説します。

まず、売却に際して必要となる主な費用は以下の通りです。

費用の種類 概要 備考
仲介手数料 不動産会社に売却を依頼し、成約した際に支払う手数料。 売却価格に応じて上限が定められています。
解体費用 建物を解体して更地として売却する場合に必要な費用。 建物の構造や大きさ、立地条件によって費用が変動します。
測量費用 土地の境界を明確にするための測量にかかる費用。 隣地との境界が不明確な場合に必要となることがあります。

次に、売却時に発生する主な税金について説明します。

1. 譲渡所得税

不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、その利益に対して課税される税金です。譲渡所得は以下の式で計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

取得費とは、購入時の価格や購入にかかった諸費用を指し、譲渡費用は売却時にかかった費用(仲介手数料や測量費など)を指します。所有期間によって税率が異なり、5年以下の場合は39.63%、5年超の場合は20.315%が適用されます。

2. 印紙税

不動産売買契約書を作成する際に必要となる税金で、契約金額に応じて税額が決まります。例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は1万円となります。

3. 登録免許税

所有権移転登記や抵当権抹消登記を行う際にかかる税金です。所有権移転登記の場合、固定資産税評価額の0.4%が課税されます。抵当権抹消登記の場合、不動産1件につき1,000円が必要です。

4. 消費税

個人が自身の不動産を売却する場合、売却代金には消費税はかかりません。ただし、不動産会社に支払う仲介手数料や司法書士への報酬には消費税が課税されます。

これらの費用や税金を事前に把握し、適切な資金計画を立てることが、空き家売却を成功させる鍵となります。専門家と相談しながら、慎重に進めていきましょう。

空き家売却時に利用できる税制優遇措置

親から相続した空き家を売却する際、税負担を軽減できる特例措置がいくつか存在します。これらの制度を活用することで、経済的な負担を大幅に減らすことが可能です。以下、主な税制優遇措置とその適用条件について詳しく解説します。

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の適用条件とメリット

この特例は、相続した空き家を売却する際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。適用条件は以下の通りです。

  • 被相続人が相続開始直前まで一人で居住していた家屋であること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  • 相続開始から譲渡までの間、事業用や賃貸用、居住用として使用されていないこと。
  • 譲渡価格が1億円以下であること。
  • 売却時に耐震基準を満たしているか、または解体されていること。

この特例を適用することで、譲渡所得から3,000万円が控除され、税負担が大幅に軽減されます。ただし、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例とその活用方法

相続した不動産を売却する際、相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。これにより、譲渡所得が減少し、税負担が軽減されます。適用条件は以下の通りです。

  • 相続税が課税されていること。
  • 相続開始から3年10ヶ月以内に売却すること。

この特例を活用することで、相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を減少させることが可能です。

その他の税制優遇措置と適用条件の確認方法

空き家の売却に関連するその他の税制優遇措置として、以下のものがあります。

  • 低未利用土地等の100万円特別控除:都市計画区域内の低未利用土地を500万円以下で売却した場合、譲渡所得から100万円を控除できる制度です。
  • 住宅用地の特例:固定資産税や都市計画税の軽減措置で、住宅用地に対して課税標準額が減額されます。

これらの制度の適用条件や詳細については、国税庁や自治体の公式ウェブサイトで確認することが重要です。

以下に、主な税制優遇措置とその概要をまとめました。

税制優遇措置 概要 主な適用条件
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 譲渡所得から最大3,000万円を控除 被相続人が一人で居住、昭和56年5月31日以前の建築、耐震基準適合など
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例 相続税の一部を取得費に加算 相続税が課税、相続開始から3年10ヶ月以内の売却
低未利用土地等の100万円特別控除 譲渡所得から100万円を控除 都市計画区域内の低未利用土地、売却価格500万円以下など

これらの税制優遇措置を適切に活用することで、空き家の売却時の税負担を大幅に軽減することが可能です。各制度の詳細や最新情報については、国税庁や自治体の公式ウェブサイトで確認し、適用条件を満たすよう手続きを進めてください。

空き家売却を成功させるためのポイントと注意点

親から相続した空き家を売却する際、成功への鍵となるポイントと注意点を押さえておくことが重要です。以下に、具体的な対策を3つご紹介します。

物件の魅力を高めるためのリフォームや修繕の検討

空き家の状態が良好であれば、買い手の印象が向上し、売却がスムーズに進む可能性が高まります。特に、以下の点に注意してリフォームや修繕を検討しましょう。

  • 必要最低限の修繕:大規模なリフォームは費用対効果が低い場合があります。壁紙の張り替えや水回りの修理など、目立つ部分の修繕に留めることが効果的です。
  • 清掃と整理整頓:室内外の清掃を徹底し、不要な物品を処分することで、物件の印象が大きく向上します。

ただし、過度なリフォームは買い手の好みに合わない可能性もあるため、慎重に判断することが大切です。

適正な売却価格の設定と市場動向の把握

適正な売却価格を設定するためには、市場動向の把握が不可欠です。以下の手順を参考にしてください。

  • 相場の調査:周辺地域の類似物件の売却価格を調査し、相場を把握します。
  • 複数の不動産会社への査定依頼:複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された価格を比較検討します。
  • 売却価格の設定:相場や査定結果を基に、少し高めの売却価格を設定することで、値下げ交渉に対応しやすくなります。

適正な価格設定は、売却期間の短縮にも寄与します。

売却活動中の管理と内覧対応のポイント

売却活動中の物件管理と内覧対応は、買い手の印象を左右する重要な要素です。以下の点に注意しましょう。

  • 定期的な清掃と換気:空き家であっても、定期的に清掃や換気を行い、良好な状態を維持します。
  • 内覧時の対応:内覧希望者には柔軟に対応し、物件の魅力を伝える工夫をします。例えば、明るい時間帯に内覧を設定することで、室内の印象が良くなります。

これらの対策を講じることで、売却成功の可能性が高まります。

以下に、空き家売却成功のためのポイントを表にまとめました。

ポイント 具体的な対策 注意点
リフォーム・修繕 必要最低限の修繕と清掃 過度なリフォームは避ける
売却価格の設定 相場調査と複数査定の比較 高すぎる価格設定は避ける
物件管理と内覧対応 定期的な清掃と柔軟な内覧対応 内覧時の印象を良くする工夫

これらのポイントを押さえ、計画的に売却活動を進めることで、空き家の売却を成功に導くことができます。

まとめ

空き家を相続された際には、まず必要な手続きを理解し、段階的に対応を進めることが大切です。相続登記や物件調査、必要書類の準備をきちんと行い、不動産会社と信頼関係を築きながら円滑に売却を目指しましょう。費用や税金についても事前に把握し、利用できる税制優遇措置を見逃さないことが重要です。適切なリフォームや内覧対応など、細かな工夫を積み重ねることで、より良い条件で売却を進めることが可能となります。


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